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『影響力の武器[第四版]』相手から「イエス」を引き出すテクニック

ロバート・B・チャルディーニの著書「影響力の武器」の第四版を読了しました。
他者から「イエス」を引き出すために有効なテクニックについて述べられています。
 
人間は生きていく上で、「簡便法」というものを活用しています。
簡便法とは、「選択をする際に、対象となる物事の1つの側面をみて判断すること」です。
 
スーパーへ行き歯磨き粉を購入する時、歯磨き粉の中にもたくさんのラインナップがある中で、あなたは何を基準に商品を選ぶでしょうか。
値段、銘柄、含まれている成分などが挙げられるでしょう。
あなたはその全てをチェックすることなく、「違いが良くわからないからなんとなく有名な銘柄の商品を選択した」という経験はないでしょうか。
そのような思考方法が「簡便法」と呼ばれるものです。
 
簡便法には良い側面と悪い側面があります。
まず、良い側面は意思決定のスピードです。ある商品が「有名な銘柄である」という1つの側面だけを拾うことによって、1つ1つの商品の細かな違いをチェックすることなく素早い意思決定をできるようになります。これは生きていく上で欠かせない能力です。
インターネットやSNSなどの流行によって、私たちは日々とても多くの情報に囲まれるようになりました。このような時代だからこそ、「何を選択するか」という意思決定にスピードが求められます。そのような観点から見ても、「簡便法」は非常に有用なやり方です。
 
一方で、簡便法を用いることによるデメリットも存在します。
それは、「物事の一部分しか見ないことで誤った意思決定をしてしまう可能性が高くなる」ということです。つまり「偏見」や「バイアス」に囚われやすくなるということです。
 
本書『影響力の武器』では、この簡便法によって生じる人間の偏見やバイアスを逆手に取る、相手から「イエス」を引き出すテクニックについて述べられています。
 
1.返報性
相手から承諾を引き出すための1つ目の武器は、返報性の原理です。
返報性の原理とは、「他者から何か良いことをされたら、相手にも良いことを仕返したくなる」という人間の傾向です。
あなたが他者に何かをあげたり良いことをしてあげると、相手には「恩には恩で返すべきだ」という心理が働き、あなたのためになる行動をしてくれる確率が高くなります。
 
スーパーで、店員からの呼びかけで試食をしたことはありますか?
試食とは、本来購入しなければ味わうことができない商品を無料で提供することによって、お客さんに「この商品を買わなければならない」と
 
2.コミットメント
2つ目の武器は、「コミットメント」、言い換えると「一貫性」です。
これは、人間は一度何かしらの立場をとると、そのあとはその立場に一貫性のある行動をとりたくなるという習性です。
 
この効果が生じる理由は、社会一般に「一貫性のある行動をする人が優れている」という通念があるからです。また、一度立場を決めてしまえば、次に同じような場面に遭遇した際に深く考えすぎずに前と同じ選択をすることができるから、という理由もあるようです。
 
3.社会的証明
どんな行動をするべきかわからない状況で、自分と類似する人が周囲にいるとき、人は周囲の人間と同じ行動をとる可能性が高くなります。
これを「社会的証明の原理」と言います。
 
例えば、道端に人が倒れている時、あなたはすぐにその人を助けることができるでしょうか?
「自分に助けることができるか?」「他の誰かが助けるのでは?」「自分に助ける責任があるのか?」と考え、なかなか一歩を踏み出すことができないようです。これはまさに「社会的証明の原理」が悪い形で実現しています。
 
4.好意
人は好意を抱く相手に対しては「イエス」という傾向が高まります。
好意は、身体的魅力,類似性,称賛,親密性,連合という5つの要素によって得ることができます。
  • 身体的魅力:身体的魅力が高い人は、才能や知性などの評価が上がる。
  • 類似性:自分と同じ特徴を持つ人に対して好意を持ちやすい。
  • 称賛:相手から褒められると好意を持つ。
  • 親密性:相手と接触し、同じ目標に向かって協働する人に対して好意を感じる。
  • 連合:人は好ましいものとの結びつきを求める。
 
5.権威
権威のある人に対して、人は服従をします。
たとえそれが非人道的なことだったとしても、権威によって裏付けされた命令であれば従ってしまいます。
 
6.希少性
珍しいものに人は動かされます。個数や販売時期が限定された商品を買いたくなります。
 
 

まとめ

自分の要求に対して相手から「イエス」を引き出すには、以上のことを意識すれば良いのです。
逆に自分が他者から過度に影響を受けすぎないように気をつけることも大切です。